Σ すたまな
第4章 図形と計量|第47節

三角比

直角三角形は大きさが変わっても、角度が同じなら形は同じです。そのとき変わらない「辺の比」を使うと、測りにくい高さや距離を角度から求められます。

基礎 | 40〜50分 | 相似・正弦・余弦・正接・特殊角

大きさが違うのに、同じ数になるのはなぜ?

下の2つの直角三角形は、対応する辺の長さがすべて2倍です。左下の角が等しいとき、3組の辺の比を比べてみましょう。
相似な2つの直角三角形 辺が3、4、5の直角三角形と、対応する辺が6、8、10の直角三角形。対応する角シータは等しい。 435 8610 θθ 小さい三角形2倍した三角形
対応する辺を同じ倍率で伸ばすと角度は変わらず、辺どうしの比も変わりません。
35=610 45=810 34=68
角度が決まると、辺の比が決まる

直角ともう1つの角が等しい2つの三角形は相似です。辺の長さそのものは変わっても、対応する辺の比は一定になります。この一定の比が三角比です。

最初に斜辺、次に角から見た2辺を決める

角シータを基準にした3辺の役割 右下が直角、左下が角シータの直角三角形。斜辺、角シータの向かい側の対辺、角シータに接する隣辺を色分けしている。 斜辺 c 対辺 a 隣辺 b θ
斜辺は直角の向かい側。対辺と隣辺は、基準にする角によって決まります。

以下では、対辺の長さをa、隣辺の長さをb、斜辺の長さをcとします。

正弦

sinθ=ac

角の向かい側を斜辺で割る。

余弦

cosθ=bc

角に接する直角辺を斜辺で割る。

正接

tanθ=ab

角の向かい側を、角に接する直角辺で割る。

見分ける順序

①直角の向かいが斜辺 ②角の向かいが対辺 ③残りが隣辺

斜辺だけは、基準にする角を変えても同じ辺です。

3辺が分かるときの三角比

例題1辺の長さが3、4、5の直角三角形で、左下の角をθとします。3つの三角比を求めましょう。

斜辺は5、対辺は3、隣辺は4です。式を書く前に、図の上で3辺の役割を確定します。

sinθ=35 cosθ=45 tanθ=34

角を変えると、対辺と隣辺が入れ替わる

同じ直角三角形で基準の角を変えた比較 左右に同じ3、4、5の直角三角形を置き、左では左下、右では右上を角シータとしている。斜辺は同じで、対辺と隣辺が入れ替わる。 435 435 θθ 左下の角から見る右上の角から見る
同じ三角形でも、基準の角が変われば「向かい側」と「接する直角辺」が入れ替わります。
左下の角が基準
sinθ=35,cosθ=45
右上の角が基準
sinθ=45,cosθ=35
よくある誤り:図の縦をいつも対辺、横をいつも隣辺とは決められません。必ず角θを見て判断します。

30°・45°・60°は図から作り直せる

値をばらばらに暗記するより、正方形を対角線で分けた三角形と、正三角形を半分にした三角形の辺の比を覚える方が安全です。

45度と30度60度の特殊な直角三角形 左は正方形の対角線からできる辺の比1対1対ルート2の三角形。右は正三角形を二等分してできる辺の比1対ルート3対2の三角形。 11√2 1√32 45° 60°30° 正方形の対角線正三角形の二等分
45°では2本の直角辺が等しく、30°・60°では短辺、長辺、斜辺が一定の比になります。
特殊角の値
角正弦余弦正接
30° 12 32 33
45° 22 22 1
60° 32 12 3

測れない高さを角度から求める

例題3建物から12メートル離れた地点で、屋上を見上げる角が45°でした。目の高さを考えないものとして建物の高さを求めます。
仰角45度と建物の高さ 観測地点から建物までの水平距離が12メートル、見上げる角が45度、建物の高さをエイチとする直角三角形。 12メートル高さ45° 観測地点
水平距離が隣辺、建物の高さが対辺です。高さと距離を結ぶので正接を使います。
tan45°=h12
1=h12
h=12

建物の高さは12メートルです。

既知の辺と求めたい辺をつなぐ比を選ぶ

1
基準の角を囲むどの角から見ているかを最初に固定します。
2
斜辺・対辺・隣辺を書く図の向きではなく、直角と基準の角で判断します。
3
2本の辺を含む比を選ぶ斜辺と対辺なら正弦、斜辺と隣辺なら余弦、対辺と隣辺なら正接です。
4
最後に式を解く比を作ってから未知の長さを求めます。

1. 斜辺が13、角θの対辺が5、隣辺が12のとき、3つの三角比を求める。

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sinθ=513cosθ=1213tanθ=512

2. 問1と同じ三角形で、もう一方の鋭角をθとしたときの正弦と余弦を求める。

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sinθ=1213cosθ=513

基準の角が変わったので、対辺と隣辺が入れ替わります。

3. 角θの隣辺が8、tanθ=34のとき、対辺の長さを求める。対辺の長さをxとする。

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34=x8⇒x=6

4. 30°の正弦、余弦、正接を求める。

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sin30°=12cos30°=32tan30°=33

5. 45°の正弦と余弦が等しくなる理由を、辺の比で説明する。

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2本の直角辺が等しく、対辺と隣辺がどちらも斜辺の12倍になるからです。

6. 辺が6、8、10の直角三角形と、辺が3、4、5の直角三角形で、対応する角の三角比が等しい理由を説明する。

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対応する辺がすべて2倍で2つの三角形は相似です。対応する辺を同じ倍率で伸ばしても、割り算で倍率が消えるためです。

7. 塔から20メートル離れた地点で、頂上を見上げる角が45°だった。目の高さを考えないとき、塔の高さを求める。高さをhとする。

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tan45°=h20=1

20メートル。

8. 同じ角度の直角三角形を3倍に拡大したとき、三角比が変わらない理由を説明する。

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分子と分母の辺がともに3倍になり、比を約分すると元と同じになるからです。

三角比は「角度で決まる辺の比」

  • 同じ鋭角をもつ直角三角形は相似なので、対応する辺の比は一定。
  • 斜辺は直角の向かい側。対辺と隣辺は基準の角から見て決める。
  • 正弦は対辺と斜辺、余弦は隣辺と斜辺、正接は対辺と隣辺を結ぶ。
  • 30°・45°・60°の値は、特殊な直角三角形の辺の比から再現できる。