Σ すたまな
第2章 集合と命題|第20節

必要条件・十分条件

2つの条件の間にどちら向きの「ならば」が成り立つかを調べると、必要条件・十分条件を判断できます。

25〜35分 | 必要条件・十分条件・必要十分条件・反例

命題の真偽を判定できたら、「ならば」がどちら向きに成り立つかを必要条件・十分条件の言葉で表します。

整数 n について、p:「4の倍数」、q:「偶数」とします。p⇒q と q⇒p のどちらが成り立つでしょうか。
p⇒q
p は q の十分条件
→
p⇒q
q は p の必要条件

p⇒q が成り立つとき

2つの条件 p、q について、命題

p⇒q

が真であるとします。このとき、p は q であるための十分条件、q は p であるための必要条件といいます。

p⇒q が真
p は q の十分条件
q は p の必要条件

たとえば実数 x について、

p:x=2q:x2=4

x=2 ならば x2=4 なので、p⇒q は真です。したがって、x=2 は x2=4 であるための十分条件です。

一方、x2=4 なら x=±2 です。x=−2 の場合があるので、q⇒p は偽です。

この例の結論
x=2 は x2=4 の十分条件ですが、必要条件ではありません。

両方向が成り立つ場合

p⇒q と q⇒p がどちらも真なら、p と q は互いに必要十分条件です。この関係を

p⇔q

と書きます。

例実数 x について
p:x=0q:x2=0

x=0 なら x2=0 であり、x2=0 なら x=0 です。

x=0⇔x2=0

したがって、2つの条件は必要十分条件です。

必要条件・十分条件の問題では、p⇒q と q⇒p を別々に調べます。成り立たない向きは、反例を1つ挙げれば否定できます。

2つの命題の真偽と、p の位置づけを整理すると次のようになります。

p⇒q
q⇒p
p は q の
真
偽
十分条件だが、必要条件ではない
偽
真
必要条件だが、十分条件ではない
真
真
必要十分条件
偽
偽
必要条件でも十分条件でもない

条件を満たす範囲で考える

条件 p を満たすもの全体を P、条件 q を満たすもの全体を Q とします。

p⇒q が真であることは、「p を満たすものはすべて q も満たす」ということなので、

P⊂Q

となります。

QPP ⊂ Q

たとえば、実数 x について

p:x>3q:x>0

なら、x>3 を満たす範囲は x>0 を満たす範囲に含まれます。したがって、x>3 は x>0 の十分条件です。

2つの向きを調べる

例題 1倍数の条件

整数 n について、

p:n は12の倍数  q:n は4の倍数

とする。p は q の何条件か。

12の倍数は必ず4の倍数なので、p⇒q は真です。

逆は成り立ちません。たとえば n=4 は4の倍数ですが12の倍数ではありません。

したがって、p は q の十分条件ですが、必要条件ではありません。

例題 2方程式を解いてから判断する

実数 x について、

p:x2−5x+6=0q:x=2

とする。p は q の何条件か。

p の方程式を因数分解すると、

(x−2)(x−3)=0
x=2,3

よって p⇒q は偽です。x=3 が反例になります。

一方、x=2 なら x2−5x+6=0 を満たすので、q⇒p は真です。

したがって、p は q の必要条件ですが、十分条件ではありません。

例題 32文字の条件

実数 x,y について、

p:x2+y2=0q:x=0 かつy=0

とする。p と q の関係を答えよ。

実数では x2≥0、y2≥0 です。その和が0になるには、x2=y2=0、すなわち x=y=0 でなければなりません。したがって p⇒q は真です。

また、x=y=0 なら x2+y2=0 なので q⇒p も真です。

よって、p と q は必要十分条件です。

集合の包含関係から文字の範囲を求める

標準十分条件となる a の範囲

実数 x について、

p:x>aq:x>3

とする。p が q の十分条件となるような実数 a の範囲を求めよ。

p が q の十分条件であるためには、

x>a⇒x>3

が常に成り立つ必要があります。集合で見ると、

{x|x>a}⊂{x|x>3}

となればよいので、境界 a は3以上でなければなりません。

a≥3

したがって、答えは a≥3 です。

必要・十分・必要十分を判定する

1. 実数 x について、p:x=1、q:x2=1。p は q の何条件か。

問1の答えを見る

考え方:p⇒qは成り立ちますが、q⇒pはx=−1で成り立たないため、十分条件だけです。

十分条件ですが、必要条件ではありません。 q⇒p は x=−1 が反例です。

2. 実数 x について、p:|x|=2、q:x2=4。p と q の関係を答えてください。

問2の答えを見る

考え方:どちらの条件もx=2またはx=−2を表すので、両方向の命題が成り立ちます。

必要十分条件。どちらも x=±2 を表します。

3. 整数 n について、p:n は6の倍数、q:n は3の倍数。p は q の何条件か。

問3の答えを見る

考え方:6の倍数は必ず3の倍数ですが、3の倍数が必ず6の倍数とは限りません。

十分条件ですが、必要条件ではありません。逆は n=3 が反例です。

4. 実数 x について、p:x>0、q:x<2。p は q の何条件か。

問4の答えを見る

考え方:p⇒qにはx=3、q⇒pにはx=−1という反例があるため、どちら向きも成り立ちません。

必要条件でも十分条件でもありません。 p⇒q は x=3、q⇒p は x=−1 が反例です。

5. 実数 x,y について、p:x=y、q:x2=y2。p は q の何条件か。

問5の答えを見る

考え方:x=yなら平方も等しいですが、平方が等しくても符号が反対の場合があります。

十分条件ですが、必要条件ではありません。 q⇒p は x=1,y=−1 が反例です。

6. 実数 x について、p:x2<1、q:x<1。p は q の何条件か。

問6の答えを見る

考え方:x2<1は−1<x<1を意味するのでx<1は従いますが、逆には反例があります。

十分条件ですが、必要条件ではありません。 x2<1 なら −1<x<1 なので x<1。逆は x=−2 が反例です。

7. 実数 x について、p:x>a、q:x>5 とする。p が q の十分条件となる a の範囲を求めてください。

問7の答えを見る

考え方:pを満たす範囲がqを満たす範囲に含まれるよう、二つの境界aと5を比べます。

a≥5。{x|x>a} が {x|x>5} に含まれればよい。

必要条件・十分条件の判定

  • p⇒q が真なら、p は q の十分条件、q は p の必要条件。
  • p⇒q と q⇒p がともに真なら、p と q は必要十分条件。
  • 命題が偽であることは、反例を1つ示せば確認できる。
  • 条件を満たす集合を考えると、p⇒q は P⊂Q と対応する。