Σ すたまな
第2章 集合と命題|第24節

背理法と証明の選び方

示したい命題の否定を仮定し、矛盾を導くのが背理法です。直接証明・対偶・背理法の使い分けも確認します。

25〜35分 | 背理法・証明法の選択

対偶に続いて、結論の否定を仮定して矛盾を導く背理法を学びます。命題に応じて証明法を選びます。

「2 は無理数である」を直接示しにくいとき、反対の「有理数である」を仮定すると、どのような矛盾を目指せるでしょうか。
直接証明
仮定から結論へ、そのまま式を進められる
対偶
結論の否定から仮定の否定へ進む方が具体的
背理法
結論の否定を仮定すると、既知の事実と両立しない

否定を仮定して矛盾を導く

命題Pを証明したいとき、Pが成り立たないと仮定します。その仮定から既知の事実と両立しない結論が出れば、仮定が誤りなのでPが真だと分かります。

背理法
1. 結論の否定を仮定する。
2. 仮定から論理的に式を進める。
3. 矛盾を導く。
4. 最初の仮定が誤りと結論する。

2は無理数である

証明2が有理数だと仮定する。

2が有理数なら、互いに素な正の整数p,qを用いて、

2=pq

と書けます。2乗して、

2q2=p2

したがって p2 は偶数であり、第23節の結果から p も偶数です。p=2k と置くと、

2q2=4k2⇒q2=2k2

よってqも偶数です。

するとp,qはともに2の倍数となり、互いに素という仮定に反します。したがって2は無理数です。

何と何が両立しないのかを書く

上の証明では、

「p,qは互いに素」 と 「p,qはともに偶数」

が矛盾しています。背理法では、最後にこの点を明確にします。

式にしやすい方向を選ぶ

方法
使いやすい場合
直接証明
仮定からそのまま結論へ式変形できる。
対偶
結論の否定を仮定すると具体的な形に書ける。
背理法
「〜でない」ことや不存在を直接示しにくい。

「偶数nならn2は偶数」は n=2k と置けばすぐ示せるので直接証明が簡単です。「n2が偶数ならnは偶数」は対偶が使いやすく、「2は無理数」は背理法が自然です。

有理数と無理数の和

例題有理数rと無理数αに対して r+α は無理数である。

r+α が有理数だと仮定します。rも有理数なので、二つの有理数の差

(r+α)−r=α

も有理数になります。しかしαは無理数としたので矛盾です。したがって r+α は無理数です。

仮定と結論を混同しない

対偶を使うなら対偶の仮定から対偶の結論へ、背理法なら否定した仮定から矛盾へ進みます。途中で元の結論を使うと、証明したいことを前提にしてしまう場合があります。

また、背理法では最後に「何と何が矛盾したのか」を書くと論理が明確になります。

1. 背理法では最初に何を仮定するか。

問1の答えを見る

考え方:示したい結論が成り立たないと仮定し、そこから矛盾を導きます。

示したい命題の否定。

2. 「偶数nならn2は偶数」はどの証明法が簡単か。

問2の答えを見る

考え方:n=2kとおけばn2=2(2k2)とそのまま示せるため、直接証明が簡単です。

直接証明。

3. 「n2が偶数ならnは偶数」はどの証明法が使いやすいか。

問3の答えを見る

考え方:対偶「nが奇数ならn2も奇数」を式で示しやすいため、対偶を使います。

対偶による証明。

4. 2の証明で得られる矛盾を答える。

問4の答えを見る

考え方:既約分数としたのに分子と分母がともに偶数となり、互いに素という仮定と矛盾します。

p,qを互いに素としたのに、p,qがともに偶数になること。

5. 背理法で矛盾が出たあと、何が結論できるか。

問5の答えを見る

考え方:矛盾の原因は最初に置いた否定の仮定なので、その仮定が誤りだと結論します。

最初に置いた否定の仮定が誤りであり、元の命題が真である。

6. 有理数r、無理数αについて r−α は有理数か無理数か。

問6の答えを見る

考え方:有理数だと仮定すると、無理数αが有理数どうしの差になってしまいます。

無理数。有理数だと仮定すると α=r−(r−α) が有理数になり矛盾。

7. 「3は無理数」を証明するなら、直接・対偶・背理法のどれが自然か。

問7の答えを見る

考え方:有理数だと仮定して既約分数で表すと矛盾を導けるため、背理法が自然です。

背理法。

  • 集合は条件を満たすものの集まりとして扱う。
  • 命題の真偽は反例や包含関係から判断できる。
  • 必要条件・十分条件は二方向の「ならば」で調べる。
  • 証明では直接・対偶・背理法を使い分ける。