背理法と証明の選び方
示したい命題の否定を仮定し、矛盾を導くのが背理法です。直接証明・対偶・背理法の使い分けも確認します。
対偶に続いて、結論の否定を仮定して矛盾を導く背理法を学びます。命題に応じて証明法を選びます。
否定を仮定して矛盾を導く
命題を証明したいとき、が成り立たないと仮定します。その仮定から既知の事実と両立しない結論が出れば、仮定が誤りなのでが真だと分かります。
1. 結論の否定を仮定する。
2. 仮定から論理的に式を進める。
3. 矛盾を導く。
4. 最初の仮定が誤りと結論する。
は無理数である
が有理数なら、互いに素な正の整数を用いて、
と書けます。2乗して、
したがって は偶数であり、第23節の結果から も偶数です。 と置くと、
よっても偶数です。
するとはともに2の倍数となり、互いに素という仮定に反します。したがっては無理数です。
何と何が両立しないのかを書く
上の証明では、
が矛盾しています。背理法では、最後にこの点を明確にします。
式にしやすい方向を選ぶ
「偶数ならは偶数」は と置けばすぐ示せるので直接証明が簡単です。「が偶数ならは偶数」は対偶が使いやすく、「は無理数」は背理法が自然です。
有理数と無理数の和
が有理数だと仮定します。も有理数なので、二つの有理数の差
も有理数になります。しかしは無理数としたので矛盾です。したがって は無理数です。
仮定と結論を混同しない
対偶を使うなら対偶の仮定から対偶の結論へ、背理法なら否定した仮定から矛盾へ進みます。途中で元の結論を使うと、証明したいことを前提にしてしまう場合があります。
また、背理法では最後に「何と何が矛盾したのか」を書くと論理が明確になります。
1. 背理法では最初に何を仮定するか。
問1の答えを見る
考え方:示したい結論が成り立たないと仮定し、そこから矛盾を導きます。
示したい命題の否定。
2. 「偶数ならは偶数」はどの証明法が簡単か。
問2の答えを見る
考え方:とおけばとそのまま示せるため、直接証明が簡単です。
直接証明。
3. 「が偶数ならは偶数」はどの証明法が使いやすいか。
問3の答えを見る
考え方:対偶「が奇数ならも奇数」を式で示しやすいため、対偶を使います。
対偶による証明。
4. の証明で得られる矛盾を答える。
問4の答えを見る
考え方:既約分数としたのに分子と分母がともに偶数となり、互いに素という仮定と矛盾します。
を互いに素としたのに、がともに偶数になること。
5. 背理法で矛盾が出たあと、何が結論できるか。
問5の答えを見る
考え方:矛盾の原因は最初に置いた否定の仮定なので、その仮定が誤りだと結論します。
最初に置いた否定の仮定が誤りであり、元の命題が真である。
6. 有理数、無理数について は有理数か無理数か。
問6の答えを見る
考え方:有理数だと仮定すると、無理数が有理数どうしの差になってしまいます。
無理数。有理数だと仮定すると が有理数になり矛盾。
7. 「は無理数」を証明するなら、直接・対偶・背理法のどれが自然か。
問7の答えを見る
考え方:有理数だと仮定して既約分数で表すと矛盾を導けるため、背理法が自然です。
背理法。
- 集合は条件を満たすものの集まりとして扱う。
- 命題の真偽は反例や包含関係から判断できる。
- 必要条件・十分条件は二方向の「ならば」で調べる。
- 証明では直接・対偶・背理法を使い分ける。