Σ すたまな
第2章 集合と命題|第23節

対偶を使った証明

命題 p⇒q を直接示しにくいとき、同値な対偶 q‾⇒p‾ を証明する方法があります。

20〜30分 | 対偶・整数の証明

元の命題と対偶は常に同じ真偽になります。この性質を使うと、直接示しにくい命題を別の向きから証明できます。

「n2 が偶数ならば n は偶数」を直接示す代わりに、どの対偶を証明すればよいでしょうか。
元の命題
n2 が偶数 ⇒ n が偶数
→
証明する命題
n が奇数 ⇒ n2 が奇数

元の命題と対偶は同値

命題 p⇒q と、その対偶 q‾⇒p‾ は常に同じ真偽になります。したがって、対偶を証明すれば元の命題も証明できます。

n2が偶数ならnは偶数

整数nについて、

n2が偶数⇒nが偶数

を示します。対偶は、

nが奇数⇒n2が奇数

です。

証明対偶を示す。

nが奇数なら、ある整数kを用いて n=2k+1 と書けます。

n2=(2k+1)2=4k2+4k+1
=2(2k2+2k)+1

2k2+2k は整数なので、n2は奇数です。よって対偶が真であり、元の命題も真です。

結論の否定が具体的になるときに使いやすい

「n2が偶数」から n の形を直接決めるのは簡単ではありません。一方、「nが奇数」は n=2k+1 と書けるので計算できます。

対偶を使うかどうかは、どちらの仮定が式にしやすいかで判断します。

例題整数a,bについて、abが奇数ならa,bはともに奇数であることを示す。

対偶は「aまたはbが偶数ならabは偶数」です。

aが偶数なら a=2k と書けるので、ab=2kb は偶数です。bが偶数の場合も同様です。

したがって対偶が真なので、元の命題も真です。

n2が3の倍数ならnも3の倍数

対偶「nが3の倍数でないならn2も3の倍数でない」を示します。

3の倍数でない整数nは、ある整数kを用いて n=3k+1 または n=3k+2 と書けます。

(3k+1)2=3(3k2+2k)+1
(3k+2)2=3(3k2+4k+1)+1

どちらも3で割ると余り1なので、n2は3の倍数ではありません。したがって元の命題は真です。

対偶を示していることを明記する

答案では「対偶を示す」と書いたうえで、対偶の仮定から結論までを示します。最後に「よって対偶が真なので、元の命題も真」と結びます。

1. 「n2が3の倍数ならnは3の倍数」の対偶を書く。

問1の答えを見る

考え方:結論を否定して仮定側へ移し、仮定も否定します。

nが3の倍数でないならn2は3の倍数でない。

2. 「abが偶数ならaまたはbが偶数」の対偶を書く。

問2の答えを見る

考え方:「aまたはbが偶数」の否定は「a,bがともに奇数」です。

a,bがともに奇数ならabは奇数。

3. 奇数nの平方が奇数になることを式で示す。

問3の答えを見る

考え方:奇数を2k+1とおいて2乗し、2×整数+1の形へ整理します。

n=2k+1 とおけば n2=2(2k2+2k)+1。

4. 「x2<1なら−1<x<1」の対偶を答える。

問4の答えを見る

考え方:結論−1<x<1の否定を仮定にし、元の仮定x2<1を否定した形を結論にします。

x≤−1 または x≥1 なら x2≥1。

5. 対偶による証明が元の命題の証明になる理由。

問5の答えを見る

考え方:元の命題と対偶は同値なので、対偶が真なら元の命題も真です。

元の命題と対偶は常に同値だから。

6. n=3k+2 のとき n2を3で割った余りを求める。

問6の答えを見る

考え方:n=3k+2を2乗し、3の倍数の部分と余りの部分に分けます。

1。

7. 「abが奇数ならa,bはともに奇数」を対偶で証明するとき、対偶を答える。

問7の答えを見る

考え方:結論「a,bとも奇数」を否定すると「aまたはbが偶数」になります。

aまたはbが偶数ならabは偶数。

  • p⇒q と q‾⇒p‾ は同値。
  • 結論の否定を仮定すると具体的な式が作れる場合、対偶が有効。
  • 整数の偶奇・倍数の証明でよく使う。